2025/04/25 14:30


腸内細菌だけじゃない!お肌にもいる常在菌たちの働き


こんにちは、ニオイ博士の伊藤です。

最近は「腸内細菌」という言葉をよく耳にするようになりましたね。腸内環境が美容や健康に深く関わっていることは、今やすっかり知られるようになりました。

でも実は、腸だけじゃないんです。私たちの肌の上にも、実にたくさんの微生物たちが暮らしています。この子たちのことを 「皮ふ常在菌(ひふじょうざいきん)」 といいます。今日はこの、ちょっと聞き慣れないけれど、実は私たちの美容や健康と深く関わっている皮ふ常在菌について、お話していきますね。


実は皮ふ常在菌の数、私たちの細胞より多い!?


まずは驚きの事実から。

たとえば、成人男性(身長170cm、体重70kg)を例にとると、人間の体を作っている細胞の数は約 30兆個(3.0×10¹³個) と言われています。

それに対して、皮ふに棲んでいる常在菌の数はなんと 38兆個(3.8×10¹³個以上) と推定されています。つまり、私たち自身の細胞より、皮ふの上にいる常在菌の方が多いかもしれないというわけです。

重量にすると皮ふ常在菌はおよそ200gほど。腸内細菌の1〜2kgに比べると軽く感じるかもしれませんが、それでもものすごい数の小さな仲間たちが、私たちの皮ふの上に共存してくれているのです。


皮ふ常在菌は私たちの「守り神」


では、そんな皮ふ常在菌たちは一体どんな働きをしているのでしょう?

ひとことで言えば、「私たちの肌を守ってくれている」 のです。

たとえば、皮ふの上では毎日、目に見えないバトルが繰り広げられています。空気中や手で触れた物から、病原菌(悪さをする菌)が肌にやってきます。でも、皮ふ常在菌がいることで、これらの病原菌は増殖しづらくなるのです。

常在菌は、皮脂を分解して抗菌物質を作り出したり、病原菌のエサを先に消費してしまったりして、侵入者を追い払ってくれています。まさに 「良い菌の先住民」 たちが私たちの肌を見張ってくれているのです。


肌のバリア機能を支える


さらに皮ふ常在菌は、肌の バリア機能 にも深く関わっています。

皮脂や汗を分解して適度な弱酸性の状態を保つことで、病原菌が育ちにくい環境を整えてくれます。これが肌が「潤っている」「しっとりしている」と健康的に感じるベースにもなっているのです。

さらに皮ふ常在菌は、皮ふのターンオーバー(新陳代謝)をスムーズに保つ働きにも関与していると言われています。つまり、私たちの肌が健康的に生まれ変わっていけるよう、そっとサポートしてくれているのですね。


免疫ともタッグを組んでいる


皮ふ常在菌は、私たちの 免疫システム とも密接に連携しています。

肌にやってくる未知の細菌やウイルスに対して、常在菌がセンサーの役割を果たし、免疫に情報を伝えます。そのおかげで、免疫は過剰に反応せず、必要なときだけしっかり働くことができるのです。

まさに、「菌と人間のチームプレー」 と言えますね。


美肌にも関わる「短鎖脂肪酸」の働き


ここで、最近の研究から特に注目されているのが、皮ふ常在菌が作り出す 「短鎖脂肪酸」 という物質です。

この短鎖脂肪酸は、肌細胞の遺伝子の働きに影響を与え、バリア機能を保つだけでなく、肌のハリや潤いにも関わっていると考えられています。

ところが、年齢を重ねるにつれて、この短鎖脂肪酸を作る常在菌は減少していくことがわかってきました。これがいわゆる「年齢肌」とも関係しているのでは?と注目されています。

実際、短鎖脂肪酸の働きを活かした化粧品も開発されはじめています。

常在菌ケアが美肌のカギになるかも?」と、美容業界でも熱いテーマになっていますよ。


衣類のニオイとも少し関係が?


さて、ここで少しだけ衣類のニオイのお話も。

皮ふ常在菌の中には、汗や皮脂を分解してニオイの原因となる物質を生み出す種類もいます。

ですから、衣類に付着した皮脂や汗が落としきれないと、そこに残った成分を栄養にして菌が活動し、あのイヤ〜なニオイが発生してしまうのです。特に梅雨時や部屋干しの季節は、このニオイが強くなりやすいですよね。

だからこそ、衣類のケアには 「しっかり洗たくして菌やエサになる汚れを残さないこと」 がポイントになります。

私も開発に関わった「桜花-AUCA-」は、そんな時にお役に立てれば…と思っていますが、まずは今日のところは、皮ふ常在菌たちの活躍を知っていただけたら嬉しいです。


今日のまとめ


✅ 皮ふにも常在菌がたくさん住んでいる
✅ 病原菌の侵入を防ぎ、バリア機能や免疫とも連携して肌を守ってくれている
✅ 短鎖脂肪酸という成分が美肌のカギになる可能性がある
✅ 衣類のニオイは、皮ふ常在菌の働きと汗・皮脂汚れが絡んで発生する

いかがでしたか?
普段は目に見えないけれど、私たちの肌の上には頼もしい小さな相棒たちが暮らしています。彼らと上手に付き合って、健やかなお肌と快適な毎日を過ごしていきたいですね。

また次回も、ニオイや菌のちょっと役立つ豆知識をお届けします!


【参考文献】
1. Anthony M Cundell. (2018). Microbial Ecology of the Human Skin. Microb. Ecol., vol.76, pp.113–120.
2. Tasha M Santiago-Rodriguez, Brice Le François, Jean M Macklaim, Evgueni Doukhanine, Emily B Hollister. (2023). The Skin Microbiome: Current Techniques, Challenges, and Future Directions. Microorganisms, vol.11, no.5, 1222.
3. Inge Kortekaas Krohn, Chris Callewaert, Hafsa Belasri, Britta De Pessemier, Celia Diez Lopez, Charlotte G Mortz, Liam O'Mahony, Marina Pérez-Gordo, Milena Sokolowska, Zsofia Unger, Eva Untersmayr, Bernhard Homey, Cristina Gomez-Casado. (2024). The influence of lifestyle and environmental factors on host resilience through a homeostatic skin microbiota: An EAACI Task Force Report. Allergy, vol.79, no.12, pp.3269–3284.
4. Kornélia Szabó, Fanni Balogh, Dóra Romhányi, Lilla Erdei, Blanka Toldi, Rolland Gyulai, Lajos Kemény, Gergely Groma. (2025). Epigenetic Regulatory Processes Involved in the Establishment and Maintenance of Skin Homeostasis-The Role of Microbiota. Int. J. Mol. Sci., vol.26, no.2, 438.


衣類の気になる生乾き臭・汗臭・体臭、白物の黄ばみに
内視鏡洗浄でも実績がある"超"酸素系漂白剤「過酢酸(かさくさん)」!!

衣料用除菌剤・漂白剤 桜花-AUCA-
ぜひお試しください。
Amazonさんで価格見直しを行いました!