2025/06/09 13:42
こんにちは。ニオイ博士こと、伊藤です。
家事や育児、お仕事に追われる中、ふと「あれ、なんか服がニオう？」と思ったこと、ありませんか？
洗濯したばかりのはずなのに、すぐにイヤなニオイが戻ってくる…。
そんな“ニオイ問題”に悩んでいる方、とても多いです。
今日はそんな方のために、「ニオイを感じる仕組み」と「なぜ私たちはそこまで気になるのか？」を、科学の視点でわかりやすくお話ししますね。
五感の中でも、嗅覚は“特別”な感覚
私たちが日常で使っている感覚、いわゆる“五感”には、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚があります。
この中で一番多く使っているのは「視覚」で、ニオイを担当している嗅覚は、五感の中でもとてもマイナーなんです💦。
でも、不思議で特別な感覚なんです。
なぜかというと、「ニオイを感じたとき、私たちは一瞬で“快・不快”を判断してしまう」から。
「あ、この香り好き！」
「うわ、なんかクサいかも…」
こうした反応、考えるより前に“感情”としてわいてきませんか？
実はそれには、脳と嗅覚の意外なつながりがあるのです。
嗅覚だけが「感情の脳」と直結している
他の感覚（視覚や聴覚など）は、いったん「大脳新皮質」という“考える脳”を通ってから、感情を動かします。
でも、嗅覚だけは違います。
ニオイの情報は、鼻から直接「大脳辺縁系（だいのうへんえんけい）」という“感情や本能を司る脳”へ届くのです。
この仕組みのおかげで、私たちは
・美味しそうな香りで幸せな気分になる
・嫌なニオイでストレスを感じる
・懐かしい香りに昔の記憶がよみがえる
といった感情の動きを、瞬時に体験しています。
言い換えれば、**ニオイは“感情のスイッチ”**のようなものなんですね。
ヒトは「ニオイに敏感な生き物」
ここで、「でも人間って、そんなに嗅覚が鋭くないんじゃ？」と思われた方もいるかもしれません。
実はそのイメージ、ちょっと違うんです。
人間の体には、いろんな感覚に対応した遺伝子があるのですが、それぞれの数を比べてみると…
嗅覚：約800種類（実際に働いているのは約400種類）
味覚：約30種類
視覚：4〜10種類
聴覚：50〜100種類
触覚：20〜40種類
なんと、嗅覚に関する遺伝子の数がダントツで多いんです！
これにより、人間は約1万種類以上のニオイを嗅ぎ分けられると言われています。
現代では視覚中心の生活が当たり前ですが、私たちの身体の仕組みには、“ニオイで生き抜いてきた”歴史がしっかり刻まれているのです。
衣類のイヤなニオイ…それ、実は「腐敗臭」かも？
では、気になる“衣類のニオイ”の正体についても少し解説しましょう。
たとえば、こんな経験ありませんか？
・デスクでふと腕を上げたとき、何かイヤなニオイが…
・洗いたての服を着たのに、数時間後にはモワッとしたニオイが戻ってくる
このニオイ、実は**「菌の繁殖による腐敗臭」**であることがほとんどです。
汗や皮脂が衣類に残ったままだと、繊維の中で菌が増殖し、その菌たちが「代謝物」としてニオイのもとを生み出します。
それが、私たちが「クサい！」と感じる原因です。
そして前述のとおり、私たちはこの“腐敗臭”のようなニオイに非常に敏感に反応するよう遺伝子レベルでプログラムされています。
つまり、あなたが不快に感じるのは“正常な防衛本能”なんです。
無臭が「新しい清潔感」になった時代
今の時代、「いい香り」よりも「無臭であること」が安心感につながるケースが増えています。
とくに女性は、ご自身のニオイだけでなく、
・家族の衣類のニオイ
・部屋干し後の残り香
・スポーツウェアの汗臭さ
など、まわりの人への“ニオイの気づかい”がとても強い傾向があります。
でも、毎日フル回転の家事の中で、そこまで完璧に対応するのは本当に大変ですよね。
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消臭スプレーでごまかすのではなく、ニオイの根本を断つ新しい選択肢です。
おわりに：ニオイを気にすることは「心のやさしさ」
ニオイに悩むのは、あなたが「自分も、まわりも気持ちよく過ごしたい」と思っているから。
それは立派な“思いやり”です。
科学のチカラと、少しの工夫で、ニオイストレスはもっと軽くなります。
これからも、ニオイ博士・伊藤が、あなたの「もう悩まない日常」を応援していきますね！
今日のまとめ
✅ ニオイは感情に直結する特別な感覚
✅ 人はニオイにとても敏感な生き物
✅ 衣類のイヤなニオイは“菌”が原因の腐敗臭
✅ 香りでごまかすより、根本ケアが安心
【参考資料】
1. 光田恵, 岩橋尊嗣, 棚村壽三(2018). 『きちんと知りたい においと臭気対策の基礎知識』日刊工業新聞社
2. 楢崎 正也(2010). 『におい―基礎知識と不快対策・香りの活用』オーム社
3. 福井康之(1991). ニオイ＊と人問関係の心理学的考察. 愛媛大学教育学部紀要教育科学, vol.37, pp.59-70.
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